【プリウス】で事故が多い!?原因と対策  プリウスミサイルにならないために

30系

『プリウスミサイル』という言葉が世に出て久しいですが、新型のプリウスが発売された現在でもプリウスは特別に事故が多い車なのでしょうか。

プリウスは単純に発売台数が多いから、比例して事故件数も多いだけなのでしょうか。

最初こそ、プリウスのいわゆるシフトレバーは特徴的な形をしているので、思わず間違えて操作してしまった方もいたかもしれませんが、それも現在では珍しいものでもなくなってきています。

2019年4月19日に発生した池袋での暴走事故で注目を集めていた【プリウスの事故】

5月15日にも千葉県市原市で65歳男性が運転するプリウスが公園に突っ込み公園内に居た保育士が負傷する事故が起こったことで再燃しています。

ここでは【プリウスの事故】について取り上げていきます。

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【2019年までのプリウスの事故件数】

 

2019年までのプリウスの事故件数は明確な数字はハッキリと調べられませんが、全国報道に出た暴走事故について検索すると2016年度にタクシーによる踏み間違い事故など12件が報告されており、他の年度でも同じくらいの事故が発生している可能性があります。

2019年に全国報道されたものでは4月の池袋での暴走事故ゴールデンウィーク中でのサービスエリアの売店に衝突した事故、そして5月の事故がありました。

全国報道されていない事故もあって【プリウスの暴走事故】件数は明確ではありません。

警察庁による『踏み間違えによる事故件数』2015年においては5830件発生しており、そのうち65歳以上の高齢者による事故が2033件、更にその中で『死亡事故』は50件となっています。

これら全てがプリウスによる事故、というわけではなくプリウスによる事故件数は不明ではありますが、現在話題となっている『高齢者による事故』が年間2000件程度起こっているようです。

コンビニやスーパーの店頭に突っ込むという事故や市街地での暴走事故など映像的に注目を集めやすい事故が報道されやすく、上記の暴走事故や2017年10月に起こった吉祥寺での暴走事故など報じられた際に【プリウス】が事故車である事が多くネット上では「プリウスミサイル」という造語が飛び交う事態となっており、『【プリウス】による事故が多い』というイメージが作られているのかもしれません

しかし、暴走事故は他の車種でも起こっており報道で他の車種が事故車として映る事も多く、一概に【プリウス】=暴走車というわけではありません

引用:https://toyota.jp/prius/compare/
【プリウス】の場合、「一目見たら【プリウス】とわかるデザイン」目を惹きやすいので「あぁ、また【プリウス】か」と印象に残りやすく、【プリウス】ばかりが暴走事故を起こしているというイメージが強くなっているのでしょう。

【プリウス】で何故事故が多いのか?

では、報道などで何故【プリウス】での事故が報じられる事が多いのか?

まず考えられる原因としては先にも言及した『販売台数』。

販売台数が多く走行している台数が多い車種だから事故件数が多いだけで事故比率では【プリウス】が突出しているわけではない、という意見もあります。

引用:https://toyota.jp/prius/compare/

2011年に国内販売台数が100万台を突破2010年年間31万台を販売してピークを迎えて現在では軽自動車を含めた新車販売ランキング7~8位登録車では2~3位)、2018年11万台を売り上げておりミニバン・SUV全盛の中でも人気のあるセダンとなっています。

その中で高齢者ドライバーが【プリウス】の乗っている、という印象が強い一因としては新車販売価格250万円~の5人乗りセダンで若い家族層や少人数向けのニーズではミニバンや軽自動車に顧客を奪われやすいという現代の国内市場の現状もあってユーザーの平均年齢が上がっているという事と、予算に余裕のある高齢者には新車販売価格250万円~と手頃な価格帯であり『手頃なサイズで燃費が良い』『軽自動車は脆いイメージがあるから避けたい』『今更カローラには戻りたくない』『中古車販売台数が多くて安くて良質なクルマを選びやすい』という高齢者のニーズに最も応えるクルマ【プリウス】という事もあるのでしょう。

年齢層の所有率が高いクルマかつ販売台数が多く、絶対数で『高齢者ドライバーによる事故』の件数が多くなるのも頷けます。

それでも全ての【プリウス】による事故が高齢者によるものでは無く、若年層による踏み間違い事故も起こっています

 

引用:https://toyota.jp/prius/

では他に【プリウス】の事故件数が多い原因があるのでは? という疑問に対して最近ネットで話題となっているのが【プリウス】の特徴的なシフトレバーです。

シフトレバーのスペースを小型化する事と、トヨタのハイブリッドカーは従来のガソリンエンジン車と比べてシフト操作が少なくて済む設計となっており「D3」「D2」「D1」といったギア固定ポジションが不要であるため簡潔な操作が出来るシフトレバーを採用しています。

引用:https://toyota.jp/sienta/

同じトヨタのハイブリッドカーでも【アクア】や【アクア】と同一ユニットを使う【カローラ アクシオ/フィールダーHV】【シエンタHV】【ヴィッツHV】【プロボックス/サクシードHV】といったコンパクトHVには従来のAT車と同じゲート式シフトレバーが採用されています。

引用:https://toyota.jp/c-hr/

現行の【プリウス】の兄弟車である【C-HR】においても従来のATとシフトレバーとなっています。

『ハイブリッドカーだから【プリウス】のシフトレバーを使わなければならない』わけではありません

この辺りはガソリン車のラインナップの有無やインテリア設計に違い、そして『ハイブリッド専用車に相応しい未来感』を求めた結果でのシフトレバーの採用だと思われます。

引用:https://www.honda.co.jp/Fit/引用:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/note/performance_safety/performance.html

トヨタに限らずホンダのハイブリッド車日産のEV・e-Power車などのハイブリッドカー・EVでは【プリウス】と同一の設計思想に基づいた簡略化したシフトレバーもしくはスイッチ操作となっています。

確かに、従来のAT車のシフトレバーとは操作方法が大きく異なり高齢者にはわかりにくいと思われます。

特に「B」ポジションの意味が理解出来ずに「Bだからバック(Back)だろう」と思い込んで普段使い慣れていない「B」ポジションに入れて前後操作を誤って暴走してしまっているのでは、という意見も散見されています。

AT車に乗っている方はお気付きでしょうが、クルマのシフトポジション表記では後進は「Reverse」の略で「R」ポジションとなっています。

B」はブレーキの略でエンジンブレーキ用のポジションとなっています。

このシフトポジションがわかりにくいから事故に繋がっているというのは当てはまる面があるとは思います。

CVTでもエンジンブレーキ用のポジションとして「B」以外に「L」(Low)表記となっているケースもあり、上記のホンダのハイブリッド車では「L」表記となっています。

このように日本人に誤解されないポジション表記にしたり、日産のように「D」と「B」を同じポジションレンジにするのも一つの対策だと思います。

 

引用:https://www.tomsracing.co.jp/sv/products/parts/details.php?mprID=360

【プリウス】のシフトレバーをスイッチ式に交換するカスタマイズパーツが市販されているように、このシフトレバーはMTのようにギアボックスと直結しておらずに電気信号を送る
スイッチ」に過ぎず(シフト・バイ・ワイヤ)、シフト操作での軽い振動など旧世代AT車のような「シフト操作をした」感はありません

これらの操作系の違いが、これまでハイブリッドカーの運転経験の無い高齢者がハイブリッドカーで事故を起こす一因ではないか、という意見もあります。

この意見にも頷ける面はあるとは思います。

引用:https://toyota.jp/prius/

他に【プリウス】に限った話では無いと思いますがアクセルペダルブレーキペダル位置が原因ではないかという意見もあります。

アクセルペダルフロントタイヤハウスと干渉しない位置、という事で内側寄りに配置されるケースは【プリウス】に限らず右側ハンドルのコンパクトカーで良くあるケースで、ペダル位置・サイズがもっと酷いクルマは他にも存在しており【プリウス】だけがペダル位置がおかしい危険なクルマ、とは一概には言えません

引用:https://www.mazda.co.jp/cars/demio/safety/cockpit/

最近では室内空間が犠牲にはなりますがアクセルペダル位置にこだわって配置しているマツダ【デミオ】【CX-3】といったコンパクトカーも存在しており他社でもドライビングポジションに注目して設計していっています。

引用:https://toyota.jp/prius/

【プリウス】も「疲れにくい理想的な」ドライビングポジションにこだわってシート高さ・位置・ハンドル調整が設計されていてフードを低くすることで前方視界を確保する工夫が為されており正しいドライビングポジションに設定すれば【プリウス】は安全に運転する事が出来るようになっています。

引用:https://gazoo.com/ilovecars/driving/160729.html

ステアリングにもたれ掛かるような体勢ソファーのように寝そべった体勢など正しいドライビングポジションとはかけ離れた姿勢で運転しているドライバーを街中で見かける事があるでしょう。

ペダル位置に原因を求める以前に正しいドライビングポジションで運転しているのかどうかの方が問題だと思います。

特に高齢者の場合、長年のクセが染みついていて正しいドライビングポジションがわからなくなっているケースが見受けられます。

新車購入時に販売会社が正しいドライビングポジションを提案・調整したり免許更新などでドライビングポジションの啓蒙活動をする事も大切だと思います。

 

就任したばかりの豊田社長が公聴会に招喚されるなど話題となった2009~2010年のアメリカでの大規模リコール(トヨタバッシング)後にトヨタ車の欠陥ではなく「殆どが運転手のミス」と断定された暴走事故においても、ドライバーによるパニックブレーキを踏んだつもりでアクセルを踏み続けていた・パニックになってペダルから脚を離せなくなったのが原因だったというケースがありました。

上記の池袋での暴走事故も事故を起こした高齢者ドライバーは「アクセルペダルが戻らなかった」と主張しているようですが警察・トヨタによる車体調査の限りでは車体に不具合は見つからず最初の衝突でパニック状態となってアクセルペダルを踏み続けていた可能性が高まっています。

他の事故でも【プリウス】の欠陥というよりもドライバーのパニック状態・状況判断能力の低下など精神的な混乱が原因である可能性があります。

【プリウス】の事故が多いから【プリウス】に問題がある、と議論の方向を特定せずに実際の状況から原因を分析していかないとアメリカでのリコール騒動の二の舞になりかねません

【プリウス】で事故を起こさないようにするためには

報道での衝撃的な映像により、あたかも【プリウス】が危険なクルマ、というイメージで語られるケースが見受けられますが、【プリウス】は予防安全性能の高いクルマとなっています。

引用:https://toyota.jp/prius/

【プリウス】は2018年末のマイナーチェンジで「Toyota Safety Sence」が全車標準装備になるなど安全性能が更に高められており、国内販売されているクルマの中でも安全性能の高いクルマとなっています。

ミリ波レーダーと単眼カメラで衝突回避・被害軽減をするプリクラッシュブレーキペダル踏み間違い時加速抑制装置などを備え、道路上の白線(黄線)を認識してドライバーがウインカー操作を行わずに車線を逸脱する可能性がある場合、警報ブザーとディスプレイ表示により注意喚起するなど予防安全性能が非常に高く、【プリウス】は危険どころか非常に安全なクルマというのが実態です。

引用:https://toyota.jp/sapotoyo/commentary/sapotoyoplus/kasoku_yokusei_system/

また販売が終了した旧型車用としては珍しいケースですが、先代の【プリウス】用に後付け安全装置「踏み間違い加速抑制システム」が販売されており「Toyota Safety Sense」が設定されていない先代【プリウス】でも衝突事故を抑制する事が出来るようになっています

引用:https://toyota.jp/sapotoyo/commentary/sapotoyoplus/kasoku_yokusei_system/

4個の超音波センサーによりシフトレバーの入れ間違いをブザーとランプで警告、更に間違って強くアクセルを踏んでしまっても加速を抑制する事で衝突の被害が軽減するなど人気の高かった先代【プリウス】に最新のクルマ並の予防安全性能を付加してくれます。

代金が5万円程度(工賃除く)と安めであり、先代【プリウス】に乗り続けている高齢者ドライバーにはオススメしたい装備です。

 

しかし、予防安全性能が高いクルマでもドライバーの行動を全て抑制するクルマは無く予見出来ない事故ドライバーの操作ミスに起因する事故全てを抑制出来るわけではありません

アメリカでの暴走事故のように高齢者ドライバーに限らずパニック状態になっての暴走事故若年層でも起こしうる事故です。

発進時での踏み間違いによる事故などは踏み間違いも原因ではありますが、日頃からの急発進・急ブレーキなど乱暴なペダル操作がそもそもの原因かもしれません。

誤発進抑制装置の紹介CMのように慌てて発進しようとして踏み間違えたり通話しながらの運転などながら運転」が原因踏み間違い・シフト操作ミスをしてしまうケースもあります。

「【プリウス】だから」と事故原因を曲解せずに、他の車種を運転していても起こりうる事故だと認識した上で各ドライバーが「自分の日頃の運転に問題は無いか」を見直してみる事が一番の事故抑制になると思います。

 

【プリウス】という『ハイブリッドカーの代名詞』はかつての『いつかはクラウン』に通じる側面があり、高齢者にとって『ハイブリッドカーで燃費が良い』『売れているクルマ』で『無難な選択肢』であり、それだけ高齢者ドライバー率が高いクルマとなっており「プリウスミサイル」などどいう不名誉な代名詞が発生しているのでしょう。

年齢にかかわらずに新しい道具を使う際には不慣れな面・慣れが必要な面があります。

たとえば携帯電話で例えるとガラケーからスマートフォンに機種変更した際に従来のガラケーと操作感が大幅に異なり慣れるまでに学習したり「らくらくホン」のような操作が簡略化された機種を選ぶなどの「使用者側の対応」が求められます。

クルマでも同じ事が言えます。

【プリウス】に買い替えるとして試乗せずにいきなり購入・操作説明無しにいきなり日常利用するという方は滅多に居ないと思います。

試乗して確認、乗車前に操作説明を受けたりすると思いますが高齢者の場合はこの操作説明が理解しきれないのかもしれません

この辺りは販売会社での説明対応、ご家族など周囲が「【プリウス】を与えておけば大丈夫」と安易に考えたりせずに高齢者自身が運転するに辺り問題が無いのかをよくよく確認する必要があると思います。

引用:https://toyota.jp/prius/

特に【プリウス】は『後方視界の悪い』クルマです。

現行【プリウス】では多少は改善されたとはいえ、空力性能を優先した【プリウス】のデザイン故後方視界はカローラなどの典型的なセダンと比べてかなり狭く後部座席に乗員がいる状態では更に視界が悪くなります

池袋で事故を起こした高齢ドライバーは日頃の駐車で苦労していたとの報道があり、後方確認がしにくかったのも駐車で苦労していた一因だと思われます。

高齢者自身も「若い間は事故を起こさなかったから運転には自信がある」と過剰な過信をせず、老化による肉体・判断能力の衰えを自覚して日頃から慎重な運転を心懸け、【プリウス】に限りませんが新車を選ぶ際に「シフトレバーなどの操作が理解出来ているか」「従来のクルマとは異なる操作感・運転感覚に慣れることが出来るか」など充分に検討する必要があると思います。

 

「燃費の良いハイブリッドカー」ならば【プリウス】に拘らずに、コンパクトで維持費の安い、日常生活に充分な積載能力を持つ【アクア】【ヴィッツ】【カローラ アクシオ】、長期休暇で帰省してくる家族を乗せる機会があるという方には積載スペースの大きな【シエンタ】【カローラフィールダー】という選択肢があります。

引用:https://toyota.jp/sienta/

特に【シエンタ】コンパクトかつ運転席からの視界が高く見通しが良くエクステリアデザインが「若者向け過ぎるのではないか」と高齢者が敬遠するかもしれませんが未来感の高いデザインの【プリウス】と比べれば大人しめといえるデザインでありシルバーなど落ち着いたカラーリングも用意されており、普段は一人か二人での利用でたまに人や荷物を載せる」という高齢者には扱いやすいクルマとなっています。

こういった【プリウス】以外の「ちょうど良いクルマ」という選択肢高齢者の周囲販売会社が提案していくことも事故を抑制する切っ掛けになると思います。

アイキャッ/チ画像引用URL:https://toyota.jp/prius

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